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東京高等裁判所 平成12年(ラ)2131号 決定

主文

本件抗告を棄却する。

理由

第1本件抗告の趣旨及び理由

本件抗告の趣旨及び理由は、別紙「即時抗告申立書」(写し)記載のとおりであるから、これを引用する。

第2当裁判所の判断

当裁判所は、本件記録を検討した結果、抗告人の相続放棄の申述を却下した原審判は相当であると判断する。その理由は、原審判2丁裏3行目冒頭から同4行目末尾までを以下のとおり訂正するほか、原審判の「理由」に説示のとおりであるから、これを引用する。

「これに対し、抗告人は、被相続人とは親子関係がないと認識しており、自己が相続人であることを確認したのは平成一二年八月一〇日であるから、その日を起算日とするよう主張する。

よって検討するに、相続放棄のための3か月の熟慮期間は、上記のとおり、原則として、相続人が相続開始の原因たる事実及びこれにより自己が法律上相続人となった事実を知った時から起算すべきものであるが、相続人が、右各事実を知った場合であっても、その時から3か月以内に限定承認又は相続放棄をしなかったのが、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の状況からみて当該相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、相続人において右のように信ずるについて相当な理由があると認められるときには、相続人が上記の各事実を知った時から熟慮期間を起算すべきであるとすることは相当でないものというべきであり、熟慮期間は、相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算すべきものと解するのが相当である(最高裁昭和五九年四月二七日第二小法廷判決民集38巻6号698頁参照)。しかしながら、抗告人は、被相続人に相続財産が全く存在しないことを信じたのではなく、父母の離婚に際し父が自己の親権者になったことから、母である被相続人との親子関係はなくなったと思い込んだことにより、熟慮期間中に相続放棄の申述をしなかったにすぎないのであるから、本件は、上記熟慮期間の起算日の繰下げが認められる場合には当たらないというべきである。加えて、抗告人は、熟慮期間中に妹のCが相続放棄の手続を進めていることを知りながら、その時点で何の調査もしないまま熟慮期間を徒過してしまったのであるから、熟慮期間内に相続放棄の申述をしなかったことにつき、汲むべき事情を見いだすことはできない。

してみれば、抗告人の熟慮期間の起算点は、原則どおり抗告人が被相続人の死亡を知った平成一二年一月一〇日ころと解するのが相当であるから、抗告人の上記主張を採用することはできない。」

第3結論

以上のように、同旨の原審判は相当であるから、本件抗告を棄却することとして、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 塩崎勤 裁判官 小林正 萩原秀紀)

別紙<省略>

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